【ITエンジニアはブラック?】なぜIT業界は過酷労働と思われているのか?

ITエンジニアの転職を考えているけれど、ネットや周囲の「ITエンジニアはブラック」という評判に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際の現場での経験からいうと確かに帰りが終電近くになることもありました。しかし1年に1回あるかどうかのレアケースです。通常は日に1時間、長くても2時間程度の残業でした。

ひと昔といっても数十年も前の話ではないですが、イメージを持たれているような過酷な労働環境であったことも事実です。

ではなぜエンジニアは長時間労働になってしまいがちだったのか?現場の現状やブラックの印象を持たれている理由についてお伝えしていきたいと思います。

<こんな方に知って欲しい>
・IT業界未経験でエンジニアを目指している方
・ブラック企業のイメージからIT業界を転職の選択肢から外してしまっている方
・転職でIT企業から内定をもらったけど待遇に不安な方

なぜ過剰な残業が発生してしまうのか?

クライアントへの納期遵守や赤字防止の為

見出しがそのままの答えになります。

クライアントに対しての納期は契約として決まっていることなので遅れるわけにはいきません。何より違反してしまうと損害賠償まで発展するケースもあります。

システムを受注する段階で”工数”というエンジニア一人あたりでの作業時間の単位(月単位であれば1人月、日単位であれば1人日と数える)を元に見積もりを提示します。

この見積もりの金額は時間がかかればその分金額は上がりますし、その時間分エンジニアの業務時間を束縛することになるので能力の高いエンジニア(企業が高い給料を支払うエンジニア)が携わればその分金額も増加します。

契約時に決定した見積もりで設計や構築、テスト運用まで行うので概算した期間内で完成出来なければ企業は赤字ということになります。

また先述しましたが納期遅れになってしまった場合、信頼や損害賠償の問題に繋がりかねません。

しかしシステムを構築しテスト運用を実施したタイミングで予期せぬトラブルが発生する場合ももちろんあります。

その修復作業を行なければいけなくなった場合には企業は赤字になるわけにはいかないのでサービス残業をさせてでもシステムを完成させようとしてしまいます。

実際に1ヶ月に100〜150時間の残業が当たり前だった企業もそこらにありました。

ひと昔前まではこの流れがまかり通っていたので、今でもエンジニア はブラックだという印象が根強く残ってしまっているのです。

システムトラブル発生時の対応

前項のようにシステム構築の際もトラブルは付き物ですが、システムの導入が完了したあとの運用・監視の業務でも障害(システムトラブル)は発生します。

ネットワークの運用・監視を請け負っている場合のトラブルとはクライアントのネット環境や通信に不具合が生じることです。

最悪の場合だと通信が停止してしまうこともあります。

よくライブチケットの抽選開始時等でホームページにアクセスが集中しすぎてサーバがダウンしてしまうことがありますがこれも似たような例です。

この例であれば原因がわかっているので帯域の増強などで解決はしやすいです。

しかし如ネットワークが断絶してしまい原因追求に時間がかかってしまう場合があります。

断絶したネットワーク環境が病院等の医療施設であったり公共交通機関、個人情報を取り扱っている企業のサーバであった場合、一刻も早く修復しなくてはならないと大問題です。

クライアントからの請負の場合でも信頼・損害賠償の問題になりかねないので早急な解決が求められます。

プロジェクトマネージャーやリーダー格の現場責任者であれば復旧が完了するまで帰宅することが困難な場合もあるでしょう。

こういったことは恒常的には発生しないイレギュラーではありますが、いつ起きるか分からないことなので、そういったトラブルと隣り合わせだというイメージから良い印象を持っていない方もいらっしゃるのだと思います。

ITドカタという言葉のイメージが強い

ITエンジニアと聞くと「ITドカタ」というワードを連想する方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このワードを思い浮かべてしまうとどうしてもIT業界はブラックだという認識が強くなってしまいます。

「ITドカタ」と揶揄される理由は意外と知られていないのではないでしょうか?

工事現場の作業者の方が建物が完成するまで働かせ続けられるイメージと連想して(現実ではそんななこと全く無いと思いますが)、「システムが完成するまで帰宅することができない」という典型的なブラックの意味合いだと考えている方が多いように思います。

由来としては実はIT業界の商流が大きな要因となっています。

IT業界の商流は建設業界と似ています。

ビルを立てる時は最上流のゼネコンにまず依頼が入ります

そしてゼネコンが建設部品のメーカーであったり、実際に工事を請け負う建設会社や工務店とだんだん下流に業務を委託して、ビルが実際に建てられていきます。

一次請け(ゼネコン)、二次請け(メーカー)、三次請け(建設会社)、四次請け(工務店)・・・といった商流です。

IT業界も同じような商流でシステムの構築がされています。

Sier(システムインテグレーター)と呼ばれるITソリューションの全体を提案する業種(建設業でいうゼネコン)があり、実際に依頼を請負ったらシステム構築をA社に委託、さらにA社がインフラ構築はB社に委託・・・、といったように建設業界と似た商流で成り立っています。

こうして現場で実際にシステムを構築しているITエンジニアも建設の現場職の方と連想して「ITドカタ」と呼ばれるようになっています。

実際には「ITドカタ」にはブラックの意味合いはありませんでした。

しかし先述したような数十年前のイメージと相まって、「ITドカタ」=ブラックというイメージが定着してしまいました。

現在では多くの企業で残業は制限されている

人手不足対策による人材確保の為

ITエンジニア は業界として人手不足が大きな問題となっています。

その中で長時間勤務などの過酷な労働環境で働かせて退職されたら困るのは企業側です。

何より働き方改革が推進されていることや最悪の場合訴えられたりでもすれば余計採用が困難になることもあり、企業もデリケートになっているところです。

人手不足の業界だからこそ残業時間削減や働いた分の残業代の支給を徹底している企業がほとんどです。

また若い世代の方は残業代を稼ぐよりも早く帰宅して自分の時間を楽しみたいという方も増えてきています。

それはそれで企業は残業代の支払いが少なくて済むので人件費削減に繋がります。

経営者側と労働者側との利害が一致してきていることも残業削減の後押しをしています。

稼働人員で遂行できる業務量に抑制

大幅な人手不足と言われるくらいITエンジニア の需要は高く、潜在している案件の量を裏付けています

仕事をたくさん請け負っても限られた人員でしか業務は行えないので、キャパシティを超えた量の仕事はかえって生産性の無いものとなってしまいます。

それこそブラック企業だと従業員から判断されてしまいます。

ですので現状では頼はあるけれど断ることで今いる人材に適した業務量で利益を出している企業も数多く見受けられます。

しかし会社である以上は増収・増益を図っていかなければ従業員への給与を上げることは困難ですし、成長することもできません。

売上アップが確実な案件が眠っている以上、一人でも多くエンジニアの人材は確保していきたいのでエンジニアへの転職は大きなチャンスでもあります。

まとめ

今の時代は利益が取れなくなって赤字で倒産するよりも従業員が不足して業務が回らなくなり経営が困難になってしまう世の中です。

人材確保のために奔走している企業が残業や無賃労働などで退職者を出してしまえば元も子も無い話なので、働く環境はだんだんと改善されてきています。

また福利厚生や資格手当などで他企業と差別化して求人募集をしている企業もあるので転職の際は参考にしてみるのもおすすめです。

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